茶の胎に肌色で複雑な縞文様、フォッシル・ジャスパーを模した、ガラス製三角ビーズ

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商品の説明

本品は、茶の胎に肌色で複雑な縞文様、あるいは、日本風の墨絵文様を描く、天然のフォッシル・ジャスパー（海洋化石）・ビーズを模し、1200年頃に成形されたガラス製のビーズです。交易に用いられヨーロッパ各地より出土すると言われます。
　複雑な縞文様は、白亜紀の魚の稚魚やウミユリなどが化石化し、後に、石英化した、海底の堆積物による独特な模様で、1200年頃のイスラム職人がガラスで再現しました。
　ジャスパー、とくに緑のジャスパーは、前3000～前4000年の遺跡（パキスタン西部）で、カーネリアンやロック・クリスタルと同程度の硬さのため、ドリルに用いられました。多彩なジャスパー・ビーズが、クレタ島を含め、メソポタミアやインダス渓谷から出土します。緑のそれは、エメラルドに比され、古代ジャスパーは、今日の王髄（カルセドニー）に該当します。
ジャスパーに含まれる水晶以外の成分、約20％が、ジャスパーの色と形を決定します。緑の他に、赤や黄などのジャスパーがあります。
　中世イスラム世界では、アラブの征服の結果、イスラム世界は新たな地域に接し、異地域の宝石を入手し利用の仕方も変わりました。最も価値のある宝石はダイヤ、エメラルドなどで、次いでトルコ石、カーネリアン、縞瑪瑙（onyx）が評価され、中産階級が活用しました。ジャスパー、アメジスト、水晶は、庶民も愛好できた宝石でした。
　古代で大切にされたジャスパーが中世イスラム世界では、庶民が愛好できる宝石となり、フォッシル・ジャスパーの複雑な紋様が、ガラス製のビーズで再現されました。言わば、人工ビーズですので、技術を習得すれば、安価で短期的に成形でき、庶民の利用を促進しました。
　このビーズは、ヨーロッパ各地で出土とされます。文献では確認できていませんが、1200年前後とすれば、200年に及ぶ十字軍後期に該当し、キリスト教徒がイスラム地域から持ち帰り、それがヨーロッパ諸国に残ったとも推測できます。多数は出土しないようですので、交易ビーズであったとしても、少量であったと推測されます。
　フォッシル・ジャスパーは、今日、パワー・ストーンとして用いられますが、「人工の」ガラス製ジャスパーは、約800年前の世界の歴史、当時の、技術革新など、さまざま諸相を考えさせてくれる、興味深いビーズです。
サイズ：高さ　約11㍉、底辺幅　約８㍉　厚さ　約3㍉